金太郎飴
山麓の寒村に、金太郎と称する童子住みけり。生来の巨軀、人並みならず、而も心優し、村人の頼み、常に快く引き受けたり。
然れども、その力は金太郎の身体に甚大な負担をかけ、常に血圧は高きにあり。金太郎自身も、己の力を完全に制御することは叶わず、その巨軀は常に苦痛に苛まれていた。金太郎は、その苦痛を誰にも知られまいと、いつも一人で村はずれの森に入り、巨木の幹に凭れ寄り、静かに目を閉じていた。
ある炎天下の日、村の近くにて大規模な土砂崩れ発生。村人、恐怖に震えつつ、金太郎に助けを求む。金太郎、村を救わんがために、決死の覚悟で土砂崩れに立ち向かう。
金太郎、渾身の力を振り絞り、土砂崩れを食い止めることに成功すれども、その代償は大きかった。金太郎の身体は忽ち光輝を放ち、その場で溶解し、美しい色彩と形を成す飴と化す。
村人、金太郎の消失に驚き悲しむも、その飴からは金太郎の優しさと勇気を感じ取ること能えり。村人、飴を大切に守り、金太郎の物語を語り継ぎ、その精神を常に心に留めることを決意。
金太郎飴は村の宝物となり、力の限界を超えても他人を思いやる心を伝え続けるのであった。